ストレッチをしても思ったように体が柔らかくならないと「なんで?」と悩みますよね。
おそらくこの悩みは、ストレッチングの「やり方」と「時間」を変えるとまた違った変化を実感できるはず。
また、根本的な“硬さ”への理解が深まると、身体を柔らかくするために何をすればいいのかが明確になると思います。
この記事では、
- ストレッチをしても体が柔らかくならない4つの理由
- 体を柔らかくする方法
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。
一番のポイントは、ストレッチングの時間を「約2分間」ぐらいに伸ばすこと。そうすれば、根本的な柔軟性は向上し、柔らかくなりますからね。
今回の記事の内容
ストレッチをしても体が柔らかくならない4つの理由
ストレッチングをしても体が柔らかくならない主な理由は、以下の4つです。
- ストレッチングの時間が短い
- 強く筋肉を伸ばしすぎている
- ストレッチングのやり方がまずい
- 意識の向け方がまずい
主な原因は、おそらく①・②の可能性が高いと思いますが、それぞれ詳しく解説しますね。
①ストレッチングの時間が短い
ストレッチングをしても体が柔らかくならない1番の原因は、
筋肉を伸ばし続けている時間が短い
という可能性があります。
ストレッチングをするときに、どのくらいの時間筋肉を伸ばし続けていますか?おそらく、
- 10秒
- 15秒
- 30秒
ぐらいの時間が多いと思います。
ただ、これぐらいの時間だけでは、実は根本的に体は柔らかくならないんですね。
本当に身体を柔らかくしようと思うと、
約2分間以上伸ばし続けることが必要
です。
例えば、長座で前屈をするとします。
このとき「体が硬いなぁ…」とある一定の抵抗感を感じますよね。
この抵抗感は、さまざまな要因の合計によって感じていますが、一番大きな割合を締めているのが「筋膜」で約41%だと言われています。
筋膜を緩めることで身体は根本的に柔らかくなりますが、
筋膜を緩めるために必要な時間が、約90秒以上
と言われているんですね。
90秒以上伸ばし続けてはじめて筋膜が緩むため、最低でもストレッチング時間は2分はほしいところ。
ですので、ストレッチングをしてもなかなか体が柔らかくならないと感じる一番の原因は、おそらくこのストレッチング時間に問題があるかもしれません。
②強く筋肉を伸ばしすぎている
ストレッチングをしても体が柔らかくならない2つ目の理由は、
筋肉を強く伸ばしすぎている
ということ。
おそらくこれも多く方が該当すると思いますが、痛みを感じるぐらい筋肉を強く伸ばしてしまっていると筋肉は緊張し、あまり体は柔らかくなりません。
筋肉は、
痛みを感じる=防衛反応で筋肉を硬く緊張させる
という反応を起こします。
例えば、頭の中で筋肉の形をイメージしてみてください。
この筋肉の真中には、感覚受容器と言われるセンサーみたいなものが備え付けられていて、それを筋紡錘(きんぼうすい)といいます。
筋紡錘の役割は、
筋肉が伸ばされる程度や強さなどを感知して、痛めないように筋肉を収縮するよう脳に指令を送る
などがあります。
筋肉があまりにも強く伸ばされると引きちぎれるので、そんなとき筋紡錘は脳に「そろそろやばい…筋肉を守るために収縮させよう。」と指令を送り、筋肉を守る。
そうすると、筋肉は引きちぎれないように縮まる(収縮する)という反応を起こします。
つまり、
筋紡錘を刺激してしまうと、筋肉は緊張してしまう
ため、ストレッチングをするときは、必ずこの筋紡錘を刺激しないように筋肉を伸ばす必要があります。
筋紡錘は、
- 強く引っ張られる
- 速く伸ばされる
この2つの刺激が加わると筋肉を緊張させてしまいます。
ですので、ある部位のストレッチングをしている際に、
- ゆっくり
- やさしく
筋肉を伸ばしていない場合、うまく筋肉が緩まず、柔らかくならないということが起こります。
ストレッチングをするときは、常に筋肉を気持ち良く伸ばしていないと、思ったように体は柔らかくならない可能性があります。
③ストレッチングのやり方がまずい
続いての問題点は、現場でもよくクライアントさんからご相談を受ける内容ですね。
例えば、腰や背中を緩めたいと思って仰向けの状態で身体を捻るようなストレッチングをするとします。
このとき、身体を捻っているので腰から背中まで緩みそうなイメージがありますが、体幹部をどこまで捻ることができているのかがポイントになります。
以下のように、腰辺りまでしか捻られないとしますよね。そうすると、実は腰回りの筋肉辺りしか柔らかくなりません。
このストレッチングを行ったとき、脇の下辺りまで浮くように身体を捻ります。
そうすると、この場合は腰だけではなく、胸や上背部などさまざまな筋肉も緩むようになります。
見た目としては微妙な違いですが、この小さな違いによって目的とする部位が柔らかくならなかったりするんですね。
つまり、
緩めようと思っている筋肉に適切な刺激が加わらない場合、体が柔らかくならない
という結果になる可能性があります。
こういったストレッチングの“やり方”のまずさによっても、体が柔らかくならない原因が隠されています。
④意識の向け方がまずい
そしてもう1つは、ストレッチングを行っている時の意識の向け方。
これは現場でもよく間違われていることが多いことですが、ストレッチングをするときは、
伸ばしている筋肉から意識を外した方が筋肉は緩みやすい
んですね。
よく「伸ばしている筋肉に意識を向けましょう!」と言われていますが、筋肉に意識を向けるとその部位を探ることになり、結果筋肉が緊張します。
意識の向け方にはさまざまなパターンが考えられますが、柔らかくしたい部位に意識を向けてしまうと思ったように筋肉は緩んでくれません。
意識を外した方が筋肉は緩み、身体も柔らかくなる。体が柔らかくならないと悩む方は、この辺りの「意識の向け方」にも問題があるかもしれませんね。
このように、
- ストレッチングの時間が短い
- 強く筋肉を伸ばしすぎている
- ストレッチングのやり方がまずい
- 意識の向け方がまずい
など、さまざまな理由で体が柔らかくならない可能性がありますが、これらに該当しない場合は以下のことが考えられます。
日常で受ける筋肉へのストレスが多い
これは現場でもよくあることで、ストレッチング自体のやり方などには問題がない。
ただ、筋肉が非常に硬くて体もあまり柔らかくならない。こういった場合に考えられることは、
- 仕事や家事の内容、行っている時間
- 筋トレなど習慣にしていること
- 座り方などの姿勢や動作
など、日頃生活する中で過度に筋肉にストレスがかかってしまっているということです。
言い換えると、
ストレッチングで筋肉を緩める以上に、日常で筋肉を硬くしてしまっている
ということ。
こういった場合は、ストレッチングなどで筋肉を緩める時間を増やすか、または筋肉にストレスがかかる根本的な原因を取り除く必要があります。
体が柔らかくならないという悩みの原因は、上記でお伝えしたようなことが考えれるんですね。では、どうすれば体を柔らかくすることができるのでしょうか?
柔らかくならない硬い体を柔らかくする3つの方法
硬い体を柔らかくするためには、以下の3つの方法を行っていきます。
- 適切な強度で筋肉を伸ばす
- 約2分間以上筋肉を伸ばし続ける
- 伸ばしている筋肉とは逆の部位に意識を向ける
それぞれ解説します。
①適切な強度で筋肉を伸ばす
まず最初に掴んでほしい感覚は、
適切な強度で筋肉を伸ばす
ということ。
前提になるのが、「気持ちいいと感じる快の刺激」です。逆に、「痛い」「強く伸ばされている」という感覚はNG。
- 適度に筋肉が伸ばされている
- 気持ちいいと常に感じている
この2つの感覚でストレッチングを行ってみてください。ここがまずは重要ですね。
また、YouTubeなどでも解説しているので、こちらも合わせてどうぞ。
あと、実際にこの画像を見たときに気になった方もいるかもしれませんが、下半身のストレッチングのときにすべて膝を曲げていたのが分かりましたか?
これは意図的で、筋肉を緩めることが一番の目的なので、もし硬い方や脚を伸ばし切るのがきつい方は膝を軽く曲げても問題ありません。
むしろ、膝を伸ばし切ると太ももの裏が緊張して痛みが出やすいですし、そうやって痛みを感じるぐらいなら膝を曲げてしまった方が適切なやり方と言えるんですね。
こういうちょっとした違いで筋肉の緩み方、柔らかさは変わるので、
- 気持ちいい
- 心地いい
という感覚で毎日ストレッチングをしてもらうと、効果をもっと実感できるはずですね。
②約2分間以上筋肉を伸ばし続ける
そして上記のような感覚で筋肉を伸ばすことができれば、この状態で、
約2分間以上筋肉を伸ばし続ける
ようにすれば、体は根本的に柔らかくなります。
③伸ばしている筋肉とは逆の部位に意識を向ける
そして、もう1つストレッチング中に変えてほしいことが意識の向け方です。意識の向け方の考え方は主に2つあり、以下の通り。
- 完全に意識を外す
- 緩めたい部位の逆側を意識する
などです。完全に意識を外す場合は、ストレッチングをしながら、
- テレビを見る
- スマホを触る
- 読書をする
など、ある意味適当にストレッチングをします。
先ほどもお伝えしましたが、意識の向け方によって以下のような違いが出ます。
- 伸ばしている筋肉に意識を向ける=筋肉が緊張する
- 伸ばしている筋肉から意識を外す=リラックスする
ですので、基本的には「ながら」でストレッチングを行えば、今よりも体は柔らかくなるはずですね。
より体を柔らかくしたい方は、伸ばしている筋肉と逆側に意識を向けるとより変化を実感できると思います。
例えば、ハムストリングス(もも裏)を緩めたいとします。
このとき、太ももの前側に意識を向けてストレッチングを行うんですね。そうすると、以下のような変化が筋肉で起こります。
- 太ももの前側に意識を向ける
- 前ももの筋肉が緊張する
- 逆にハムストリングス(裏もも)が伸ばされ緩みやすくなる
専門的に言えば相反抑制(そうはんよくせい)という反応を利用した方法で、伸ばしている筋肉と逆側に意識を向けるとより筋肉を緩められるんですね。
このように、意識をうまく使い分けることで身体をより柔らかくすることができるはず。
ここまでお伝えしたように、
- 適切な強度で筋肉を伸ばす
- 約2分間以上筋肉を伸ばし続ける
- 伸ばしている筋肉とは逆の部位に意識を向ける
この3つが適切にできることで今よりも体は柔らかくなるので、ぜひ参考に実践してみてくださいね。
ストレッチをしても体が柔らかくならない4つの理由のまとめ
今回は、硬い体が柔らかくならない4つの理由や身体を柔らかくする方法を解説しました。
今回の記事のまとめ
- 体が柔らかくならないのは、主にストレッチングの時間とやり方に問題があるはず
- 時間が短すぎたり、筋肉を伸ばしすぎると体は柔らかくならない
- 体を柔らかくするためには、「筋膜」を緩めること
- 「筋膜」は90秒間以上伸ばし続けることで緩む
- ストレッチングを気持ち良く、2分間以上行えば体は柔らかくなる
こういった内容をお伝えしていきました。
今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただいてありがとうございました!
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