スポーツ選手や一般の方が運動や筋トレ後に適切なストレッチングをすることで、疲労回復やケガの予防にもつながります。
「筋トレ後はストレッチ不要」などと言われることもありますが、実際に体感してもらうとストレッチの必要性は身をもって実感できるはず。
ただこのストレッチングのやり方にはコツがあり、コツやポイントなどをおさえた上で実践することが何よりも重要です。
この記事では、
- クールダウンや筋トレ後のストレッチングの効果
- ストレッチング方法18選
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。
明らかに翌日の疲労感や筋肉痛の強さ、また身体のおもだるさや動きやすさなども変わるので、ぜひ習慣にしてみてくださいね。
今回の記事の内容
- クールダウンや筋トレ後にストレッチングを行うと効果的な理由
- クールダウンや筋トレ後にストレッチングを行う時の注意点
- クールダウンや筋トレ後に効果的な18種類のストレッチング方法
- ①首の側面の静的ストレッチング
- ②首の前側の静的ストレッチング
- ③首の後ろ側の静的ストレッチング
- ④大胸筋(胸)の静的ストレッチング
- ⑤広背筋(背中)の静的ストレッチング
- ⑥三角筋(肩)の静的ストレッチング
- ⑦上腕三頭筋(二の腕)の静的ストレッチング
- ⑧腰の静的ストレッチング
- ⑨腹筋(お腹)の静的ストレッチング
- ⑩腸腰筋(お腹)の静的ストレッチング
- ⑪大殿筋(お尻)の静的ストレッチング
- ⑫大腿四頭筋(太ももの前側)の静的ストレッチング
- ⑬ハムストリングス(太ももの裏)・腰の静的ストレッチング
- ⑭内転筋(内もも)の静的ストレッチング
- ⑮内転筋・ハムストリングス(太ももの裏側)の静的ストレッチング
- ⑯ハムストリングス(太ももの裏側)・体側の静的ストレッチング
- ⑰ヒラメ筋・腓腹筋(ふくらはぎ)の静的ストレッチング
- ⑱下半身全体の静的ストレッチング
- クールダウンや筋トレ前後のストレッチングに関するよくある質問
- クールダウンや筋トレ後に行うと効果的な18種類のストレッチング方法のまとめ
クールダウンや筋トレ後にストレッチングを行うと効果的な理由
クールダウンや筋トレ後にストレッチングを行うと効果的な理由は、以下の通りです。
- 疲労回復が早くなる
- 筋肉が柔らかくなり、ケガの予防になる
- むくみや頭痛などの改善に役立つ
- メンタル面にもプラス
それぞれご紹介します。
疲労回復が早くなる
スポーツをしたり筋トレをすることで、筋肉が疲労し硬くなります。
この状態になると、
- 乳酸や老廃物が体内に蓄積する
- その状態を放置すると、身体の重だるさや疲労が残る
ということが起こります。
クールダウンや筋トレ後に適切なストレッチングをして、筋肉を緩めることができると血流が改善されます。
血流が改善することで「乳酸」や「老廃物」の代謝が早くなり、結果翌日の疲労は軽減されるんですね。
ですので、運動後のストレッチングは疲労回復効果が非常に期待できます。
筋肉が柔らかくなり、ケガの予防になる
疲労回復とも被りますが、特にスポーツ選手の場合、いかに柔らかい筋肉の状態を維持できるか。
これはベストパフォーマンスを発揮する上では、大きな課題となります。
クールダウンなどでストレッチングを適切に行えば、
- 運動などで縮まって硬くなった筋肉が本来の長さ、弾力に戻る
- 血流が改善して、疲労回復が早くなる
- 翌日も身体は動かしやすくなり、ケガをしづらい状態になる
こういったプラスの効果が期待できます。
特にスポーツ選手は、前日の疲労をいかに軽減し、なおかつ身体が動きやすい状態を維持できるかが重要になりますよね。
そういった自分の持っている力を十分発揮するためにも、クールダウンや筋トレ後のストレッチングは必須と言えます。
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むくみや頭痛の改善に役立つ
筋トレで自分の身体をハードに追い込むと、筋肉が硬くなります。
筋トレ後にストレッチングをせず放置してしまうと、
- 全身の筋肉が硬くなり、血流が悪くなり
- 血流が悪くなることで、脳への血流量も低下する
- 血液は酸素を運んでおり、脳内が酸欠状態になる
- そうすると頭痛が発生する
- またリンパ液の循環も悪くなり、むくみがひどく発生する
こういった変化も起こる可能性があるんですね。
逆に、筋トレ後にこういった症状で悩んでいた方は、ストレッチングをしてから筋トレを終えると症状は改善するはず。
このように、筋トレ後に出ていた症状は、実はストレッチングなどのケア不足で起こっていたのかもしれません。
こういった症状の改善にも役立ちますね。
メンタル面にもプラス
そして、僕自身が痛感しているのが、筋トレ後などに適切に筋肉を緩めることでメンタル面の改善がみられるということ。
これは自律神経との関係が考えられ、運動や筋トレ後にストレッチングで筋肉を緩めると、
- 筋トレで興奮状態になる
- ストレッチングで筋肉を緩めると副交感神経が刺激される
- リラックス状態になり、自律神経が整う
- 自律神経が整うことでメンタル面が安定する
こういった反応が起こると考えられます。
逆に、スポーツや筋トレをしてもケアせず終わっている方は、そういったことが原因でメンタルが不安定になっているのかもしれません。
このように、クールダウンや筋トレ後にストレッチングを行うことで、
- 疲労回復が早くなる
- 筋肉が柔らかくなり、ケガの予防になる
- むくみや頭痛などの改善に役立つ
- メンタル面にもプラス
などの効果が期待できるため、ぜひ習慣してほしいなと考えているんですね。
では、具体的にどのようなストレッチングをすればいいのでしょうか?
詳しい方法をお伝えする前に、注意点などを先にご紹介します。
クールダウンや筋トレ後にストレッチングを行う時の注意点
ストレッチングを行う時の注意点は、以下の通り。
気持ち良く筋肉を伸ばす
ストレッチングの効果を引き出す上で、まず重要になるのは、
痛みや不快感を出さず、常に気持ち良く筋肉を伸ばす
ということ。
痛みや不快感を感じる=筋紡錘を刺激することになり、筋肉が緊張してしまいます。
ですので、必ず気持ち良く筋肉を伸ばすようにすることが重要ですね。
時間は30秒以上伸ばし続ける
また、ストレッチングの時間設定としては、
- 筋肉を緩める=約30秒間
- 柔軟性を高める=約2分間
が目安になります。
基本的には30秒が1つの目安ですが、もし柔軟性の改善をしたい方は約2分間ずつするようにしてみてください。
そうすれば、身体は本当に柔らかくなり、今まで感じれなかったスッキリ感や柔らかさを感じれるはず。
呼吸の仕方
ストレッチングを行っているときの呼吸は、
基本的には自然呼吸
で問題ありません。よく「ストレッチング中は深呼吸を行う」と言われますが、やり方が問題です。
この深呼吸もリラックスして行えれば効果的ですが、意識的に呼吸を大きくしてしまおうとすれば、かえってその呼吸が緊張の原因になります。
ですので、ストレッチング中の呼吸は、自然呼吸をベースに繰り返せばOKですね。
ストレッチング中の意識
「伸ばしている筋肉に意識を向けましょう!」ということもよく言われますが、“意識を向ける”ということは、その部位を探ることになります。
探るということは筋肉が緊張しますし、筋トレのときも「鍛えている部位に意識を向けましょう!」と同じことが言われますよね。意識を向ける=筋肉が緊張するということ。
逆の発想として、意識を向けない方がリラックスできるということになるため、
ストレッチング中は、伸ばしている筋肉に意識を向けない
方が、より筋肉を緩めることができます。
ですので、スマホを触ったりテレビを見ながら、ある意味適当にストレッチングを行ってもらった方がいいと思います。
ストレッチングの順番
そして、全身のストレッチングを行う場合、
首から順に下半身へ向かってストレッチングを行う
ようにします。
上から下に向かってストレッチングを進める理由は、筋肉は脳が支配しており、脳が緊張していると筋肉が緩みづらくなってしまうからです。
脳に一番近い首の筋肉を緩めてから、徐々に下半身へストレッチングを進めた方が全身の筋肉を緩めやすくなるので、順番としては首から下に向かって行うようにします。
ここから具体的なストレッチング方法をご紹介しますね。
クールダウンや筋トレ後に効果的な18種類のストレッチング方法
では、ここから具体的な静的ストレッチングの方法をご紹介していきます。
①首の側面の静的ストレッチング
手順
- 正面を向いた状態から、首の付け根を支点に軽く頭を真横に倒す
- 首の側面が気持ち良く伸びる位置で止める
- 手を頭に沿えてストレッチングを行う
- これを30秒間行う
②首の前側の静的ストレッチング
手順
- 正面を向いた状態から天井を向くように軽く顎を上げる
- 両手で顎をサポートしておく
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
③首の後ろ側の静的ストレッチング
手順
- 頭の後ろに手を沿える
- 首の付け根を支点に地面を見るように軽く顎を引く
- この状態で30秒間ストレッチング
④大胸筋(胸)の静的ストレッチング
手順
- 四つ這いの状態から片腕を真横に伸ばす
- 肩を真下に下げるように胸を伸ばしていく
- 気持ちいいところで30秒間ストレッチングを行う
⑤広背筋(背中)の静的ストレッチング
手順
- 四つ這いの状態から片腕を斜め前に伸ばす
- 手の甲を地面につけ、肩を真下に落とすイメージで広背筋を伸ばす
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑥三角筋(肩)の静的ストレッチング
手順
- 片腕を身体の内側に伸ばす
- その状態で逆の手で腕をサポートする
- 肩の筋肉を気持ち良く伸ばす
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑦上腕三頭筋(二の腕)の静的ストレッチング
手順
- 腕を身体の斜め前から上方に上げる
- 肩がきつく感じない位置で止め、肘を曲げる
- 逆の手で肘の裏をサポートし、軽く身体の内側へ引く
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑧腰の静的ストレッチング
手順
- 仰向けの状態で両膝を90度に曲げる
- その両膝を真横に倒し、体幹部を捻る
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑨腹筋(お腹)の静的ストレッチング
手順
- うつ伏せの状態で、両手を身体の横につく
- 身体を反らせるように起こし、腹筋を気持ち良く伸ばす
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑩腸腰筋(お腹)の静的ストレッチング
手順
- 脚を前後に大きく開き、後方の足の甲を地面につける
- 脚の付け根を突き出すようなイメージで身体を少し反らす
- 股関節からお腹を気持ち良く伸ばす
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑪大殿筋(お尻)の静的ストレッチング
手順
- 座った状態で両手は身体の後ろにつき片膝を立てる
- 逆の脚を組むように乗せる
- 身体と脚の距離を近づけるようにお尻の筋肉を伸ばす
- 気持ちいいところで30秒間ストレッチングを行う
⑫大腿四頭筋(太ももの前側)の静的ストレッチング
手順
- 座った状態で片脚を伸ばし、もう一方は曲げる
- 身体の後方で両手をつき、軽く後方へ体重をかけていく
- 太ももの前側を気持ち良く30秒間ストレッチングを行う
⑬ハムストリングス(太ももの裏)・腰の静的ストレッチング
手順
- 座った状態で、骨盤を軽く立てる
- 軽く膝も曲げ、そこから前屈をする
- もも裏や腰を気持ち良く伸ばす
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑭内転筋(内もも)の静的ストレッチング
手順
- 座った状態で足の裏と裏を合わせる
- この状態でお辞儀をするように、身体を前屈させる
- 気持ち良く内転筋を伸ばす
- 30秒間ストレッチングを行う
⑮内転筋・ハムストリングス(太ももの裏側)の静的ストレッチング
手順
- 座った状態で、軽く骨盤を立てる
- 両脚は大きく開き、軽く膝を曲げる
- 身体をお辞儀させるように前屈をする
- 内転筋、太ももの裏側を気持ち良く伸ばす
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑯ハムストリングス(太ももの裏側)・体側の静的ストレッチング
手順
- 座った状態で、軽く骨盤を立てる
- 両脚は大きく開き、軽く膝を曲げる
- 片脚の方向へ身体を倒し、体幹の側面を伸ばす
- 太ももの裏や体側を気持ち良く伸ばす
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑰ヒラメ筋・腓腹筋(ふくらはぎ)の静的ストレッチング
手順
- 片膝を立てた状態で座る
- 立てた足の足裏全体を地面につけておく
- 体重を少し前にかけていくようにアキレス腱を伸ばす
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
⑱下半身全体の静的ストレッチング
手順
- 脚を肩幅に開き、つま先も違和感ない程度に開く
- 足裏全体に体重を乗せておく
- そのまましゃがみ込み、膝とつま先を同じ方向に向ける
- この状態で30秒間ストレッチングを行う
YouTubeでも一緒にできるストレッチ方法を解説しているので、こちらも合わせて参考にしてみてください。
これらを習慣にしてもらうと、上記でお伝えしたような効果を実感できるので、ぜひ参考に続けてみてください。
クールダウンや筋トレ前後のストレッチングに関するよくある質問
現場でスポーツ選手や一般の方からよくある質問や、それに対する考え方もご紹介しますね。
ストレッチングはどのタイミングでやればいいですか?
これは目的によって変わってくると思います。
イメージとすれば、
- スポーツ選手:練習・試合後やお風呂からあがって寝る前に行う
- 一般の方:朝・昼・夜、特に制限はなくいつ行ってもOK
です。
筋肉を緩めるという目的なので、身体が温まっているお風呂上がりや運動直後に行ってもらうと、より効果を実感できると思います。
ですので、ストレッチングは上記のようなタイミングで行ってもらえればいいかなと思います。
運動前に行ってもいい?
基本的にスポーツ前の静的ストレッチングは避けてもらった方がいいかもしれません。
このことについては、以下の記事で詳しく解説しているので、こちらを参考にしてみてください。
代謝は上がりますか?
よく「ストレッチをすればダイエット効果あり!」みたいなことが言われますが、基本的にはそういったダイエット効果、基礎代謝が大きく向上するほどの効果は見込めません。
ただ、身体が柔らかくなって可動域が広がることで、硬いよりも消費エネルギーが増す可能性はあります。
そういった意味では硬いよりも柔らかい方がいいと言えますが、基礎代謝が大きく上がる、ダイエット効果が目に見えて出るような効果はあまり期待できません。
クールダウンや筋トレ後に行うと効果的な18種類のストレッチング方法のまとめ
今回は、クールダウンや筋トレ後に行ってほしいストレッチングの具体的な方法などを解説していきました。
今回の記事のまとめ
- 筋トレ後などにストレッチングを行うことで疲労回復などに効果的
- またケガの予防になり、スポーツ選手はより動きやすい身体になる
- 適切に筋肉を緩めようと思うと、最低でも30秒間は伸ばし続けること
- さらに気持ち良く伸ばし、伸ばしている筋肉に意識を向けない方がより筋肉は緩む
- 運動前のストレッチングはおすすめできず、運動後・寝る前などのタイミングが勧められる
こういった内容をお伝えしました。
ストレッチングを適切に行えば、より快適で動きやすい身体になるので、上記を参考にぜひ実践してみてください。今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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