スクワットは“キングオブエクササイズ”と言われ、トレーニング種目の中の王様でもあり本当に多くの効果が期待できます。
もちろん「脚やせ」にも効果的ですが、やり方が間違ってしまうと逆に脚が太くなるというリスクも潜んでいます。
もし今、「膝がつま先よりも出ないように…」とスクワットをしている方は、特に前ももなどの張りや太さにつながっているかもしれません。
この記事では、
- スクワットで脚やせするための7つのポイント
- スクワットで脚やせする方法
- スクワットで脚が太くなる理由
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。
この記事では、「脚やせ」だけではなく目的別のスクワット方法もご紹介するので、これらも参考に実践してみてくださいね。
今回の記事の内容
スクワットで脚やせする7つのポイント
スクワットで脚やせしたい方は、以下の7つのポイントを適切に設定することが重要です。
- 足幅
- つま先の向き
- 重心の位置
- しゃがみ方・手順
- しゃがむ深さや姿勢
- 目線や顎の向き
- 膝の向き
1つ1つ見れば難しく感じるかもしれませんが、実際にスクワットを行うとなれば非常にシンプル。
まずはこの7つについて解説しますね。
①足幅
スクワットをするときにまず設定するのは、足幅。
正面を向いて立ったとき、足幅は大体肩幅か少しそれよりも広めに開いて立ちます。
この画像よりも少し広めでOKですが、足幅はしゃがみやすさと関係してきます。
- 腰幅ぐらい=しゃがみづらい
- 肩幅ぐらい=しゃがみやすくなる
個人によって足幅は微調整が必要ですが、大体肩幅にとってしゃがみやすいのであればその足幅で問題ありません。
この“しゃがみやすさ”は脚やせに最も重要で、しゃがみづらさがあれば必ずといっていいほど脚は太くなってしまうので注意が必要です。
②つま先の向き
脚を肩幅に開いたら、次はつま先の向きを調節します。
つま先の向きの1つの基準は、
違和感のない程度に軽く開く
ということ。ただ、これだと少し抽象的でわかりづらいですよね。
1つの基準としては、グー1分の足幅で立ち、つま先を軽く開いた(30度ぐらい開く)状態で立ちます。
ここから①で解説した足幅に徐々に広げていきますが、この足幅が広がると同時につま先の角度も少しずつ外側に開くのが自然です。
ですので、肩幅ぐらいであれば画像のつま先の角度よりも少し開いた状態が一番適切なつま先の向きになります。
このつま先の向きは、③とあわせて調整してもらうとより適切な位置に設定できます。
③重心の位置
スクワットを行う時の足裏の重心位置は、踝の真下に設定します。
横から見ると、丁度この位置ですね。
この位置に体重を乗せるためには、つま先の角度が自然であることが必要で、つま先の向きを違和感のない程度に開けるとこの踝の真下に体重が乗ってきます。
ですので、
- つま先の向き
- 足裏の重心位置
はセットで調節してもらうと、両方とも適切に設定できるはずですね。
ちなみに、この重心位置に体重を乗せることで、
- スクワット時に脚全体に刺激が分散される
- それぞれの筋肉に小さな刺激が繰り返し加わる
- その刺激によって脚やせする
- また、脚の捻れなども改善してまっすぐな脚に変わる
という変化が生まれます。
逆に「踝の真下」から重心がズレてスクワットを行えば脚が太くなってしまうので、ここは必ず適切に設定しておきましょう。
④しゃがみ方・しゃがむ手順
①~③の条件が設定できると、このような立ち方になると思います。
ここからしゃがむとき、特に難しいことを考えず、
真下にへしゃげるようにしゃがむ
という感覚で、スッと落ちるようにしゃがみます。
一般的には、「膝がつま先よりも出ないようにしゃがむ」と言ったことが正しいと言われますが、このイメージは不要です。
このイメージでしゃがんでしまうとスムーズにしゃがむことができないため、シンプルに「真下にへしゃげるようにしゃがむ」という感覚だけで問題ありません。
詳しい動きの手順で言えば、
- 足首の関節
- 膝関節
- 股関節
という下から順に動けば、よりスムーズにしゃがむことができます。
スクワットで脚やせを目指す場合は、「真下にへしゃげる」という感覚でスクワットをしてもらえればOKですね。
⑤しゃがむ深さや姿勢
そして、スクワット時のしゃがむ深さは以下のような姿勢が保てる位置まででOKです。
逆に、こういう丸まった姿勢になるのはNG。
1つの基準としては、腰辺りや背中が自然な状態を維持できる深さまでしゃがむということ。
- 背中や腰辺りが丸くなる=しゃがみすぎ
- 背骨のラインが自然な状態が維持できる=適切なしゃがむ深さ
こういう判断ですね。
もし10cm程度しかしゃがめなかったとしても、それでOK。
自然な状態を維持できない深さでスクワットをすれば、必ずといっていいほど前ももが張ってきます。
ですので、しゃがむ深さの基準は「自然な背骨が維持できる深さ」です。
⑤目線や顎の向き
そして、しゃがんだときに気をつけたいのが目線や顎の向き。感覚としては、
軽く顎を引き、上目遣いで正面を見る
感じです。
こうすることで、体幹全体が適切に緊張し、負荷を適切に支えることができます。
ただ顎が上がってしまうことで、背中の筋肉が緩んでしまい、負荷を支えづらくなってしまう。
こういうフォームでスクワットをすると背中や腰を痛める可能性があるので、必ず軽く顎を引いた状態でスクワットを行うようにします。
⑦膝の向き
しゃがんだときにもう1つ重要なことは、膝とつま先を同じ方向に向けるということです。
正面からの画像だと特に問題なく見えますが、自分目線だと少しがに股気味に見えると思います。
これが膝とつま先が同じ方向を向いている状態。
逆に、自分目線で膝とつま先が同じ方向を向いている状態では、実際には少し膝が内側に倒れてしまっています。
ここは鏡で見た自分の姿と、自分目線で直接足元を確認したときに差が出るので注意が必要です。
適切に膝が開けていると踝の真下にきちんと体重は乗ってきますし、逆に膝が内側に倒れてしまうと足の内側に体重がかかるので、こういう感覚で判断してもいいですよね。
このように、上記の7つをおさえた上でスクワットができると「脚やせ」や「ヒップアップ」してきます。
スクワットで脚やせする5つの方法
では続いて、実際に脚やせするスクワットのやり方をご紹介します。
スクワットといっても種類がいくつもあり、今回は以下の5つをご紹介しますね。
- フルスクワット
- クウォータースクワット
- ディープスクワット
- ポンプスクワット
- バウンドスクワット
これらのやり方は、以下の通り。
①フルスクワット
手順
- 脚を肩幅に開き、つま先を違和感のない程度に軽く開く
- 体重は踝の真下に乗せておく
- 真下にへしゃげるようにしゃがむ
- このとき、顎は軽く引き正面を見ておく
- 膝とつま先は同じ方向を向けておく
- 踵で軽く地面を押し返すように立ちあがる
- これを20回×3セット行う
②クウォータースクワット
手順
- 脚をグー1つ分開き、つま先を違和感のない程度に軽く開く
- 体重は踝の真下に乗せておく
- 真下にへしゃげるようにしゃがむ
- このとき、体重を踝の真下に乗っているか確認する
- お尻を締めながら立ち上がる
- これを30回×3セット繰り返す
③ディープスクワット
手順
- 脚を肩幅に開き、つま先を違和感のない程度に軽く開く
- 体重は踝の真下に乗せておく
- 真下にへしゃげるようにしゃがみ込む
- 踝の真下を意識して小さく弾む
- これを1分間×3セット繰り返す
④ポンプスクワット
手順
- 脚を肩幅に開き、つま先を違和感のない程度に軽く開く
- 体重は踝の真下に乗せておく
- 全身をポンプのように軽く上下に弾む
- これを1分間×3セット繰り返す
⑤バウンドスクワット
手順
- 脚を肩幅に開き、つま先を違和感のない程度に軽く開く
- 体重は踝の真下に乗せておく
- 真下にへしゃげるようにしゃがみ込む
- 踝の真下を意識して小さく6回弾む
- 最後の2回で反動をつけて立ち上がる
- 再度しゃがみ込み、これを10回×3セット繰り返す
個人的には、③でお伝えしたスクワットを毎日の習慣にすれば、
- 太もも全体の太さ
- 外ももの張り
- 内もものたるみ
- ふくらはぎのたるみ
などが改善して脚やせできるのでおすすめですね。
スクワットの回数設定も重要
本当にスクワットで脚やせを目指すなら、大体1回のトレーニングで400~500回は上下運動を行う必要があります。
これはとてつもない数字に感じますが、先ほどお伝えしたディープスクワットであれば1分間で120回脚全体を至芸することができます。
イメージ的には、
- ディープスクワット:1分間×3セット
- その他のスクワット:30回×3セット
この2種目で、約450回の回数をこなすことができるので、そこまで難しくないですよね。
こういったスクワットを週2回の頻度で行うことで、より脚やせできます。
スクワットで脚を細くしたい方は、ぜひ上記の方法や回数を参考に実践してみてください。
もし脚の部分的な悩みを抱えている方は、以下の記事も参考にしてみてください。
続いては、脚が太くなってしまうスクワットも解説しておきますね。
スクワットで脚が太くなる理由
スクワットで脚が太くなってしまう主な理由は、以下の通りです。
しゃがみ方に問題がある
一番の問題点は、
スクワットをするときのフォーム
です。
一般的には、『つま先よりも膝が前に出ないようにしゃがむ』ということを意識してスクワットをする方が多いですが、このフォームでは脚が太くなります。
この意識を持つと、太ももの前側でブレーキをかけ、このときの刺激が脚を太くしてしまう。
ここでおさえときたいことは、
スクワット=脚が太くなるではなく、やり方次第で結果は変わる
ということ。では、なぜブレーキ動作を活用してスクワットを行うと、脚が太くなってしまうのでしょうか?
スクワットのブレーキ動作は刺激が大きい
問題になる動作は、このフォームですね。
このとき、太ももの前側が“伸ばされながら刺激を受ける”という状態となり、専門的に言えばエキセントリックな刺激が加わった状態です。
このエキセントリックな刺激が加わることが一番の問題で、この刺激は、
負荷の大小に関わらず、速筋に刺激が加わる
ということが起こります。
この速筋(そっきん)というのは、刺激を受けると太くなるという性質を持っています。
つまり、
ブレーキ動作を活用してスクワットをすると、太ももの前側の速筋に刺激が加わり脚が太くなる可能性がある
ということ。だから、膝がつま先よりも前に出ない意識でスクワットをすれば、脚が太くなってしまう可能性があるというわけなんですね。
太ももがパンパンに硬いと悩む方は「太ももが硬い原因と柔らかくする3つの手順」も参考にしてみてください。
つま先重心でスクワットを行うと前ももが張る
その他に問題になるのは、
つま先重心でスクワットを行ってしまう
ということ。
先ほども解説しましたが、人は自然に足裏に体重がかかると、この位置に体重が乗るようになります。
この位置に体重を乗せた状態でスクワットができると、脚全体や体幹に刺激が分散される。
だけど、つま先重心でスクワットをしてしまうと、主に太ももの前側にストレスがかかってしまう。
しゃがみ方が適切であっても、つま先重心でスクワットを行うと、
太ももの前側がポコッと張り出る
可能性があり、つま先重心でスクワットを行うのも、脚やせしたい方にはおすすめできません。
前ももの張りや太さで悩む方は「太ももの前側が太い&パンパンに張り出す原因と細くする3つの手順」も参考にしてみてください。
膝が内側に倒れてスクワットを行っている
また別のケースでは、
膝が内側に倒れた状態でしゃがむ、立ちあがるという動作を行っている
というのも問題になります。
膝が内側に倒れると、股関節の捻れにつながり、そういうスクワットをしていると太ももの外側がポコッと張り出る可能性があります。
詳しくは「太ももの外側が太い&張り出す原因と細くする6つの方法」で解説していますが、別のケースでは太ももの内側辺りが太くなるかもしれません。
膝が内側に倒れると、太ももの前側の内側辺りに強いストレスがかかり、膝の内側辺りに筋肉がポコッと張り出てくる可能性もあります。
このように、膝が位置に倒れるようなフォームをスクワットをしても脚は太くなりますね。
重量が重すぎる
あともう1つ考えられることは、
扱ってる重量が重すぎる
ということです。
重量が重すぎることで、
- フォームが崩れてつま先重心や膝が内側に倒れてしまう
- 負荷が高すぎて筋肉が太くなる
などが起こる可能性があります。
このように、スクワットのフォームや条件が不適切だと、脚やせ目的であっても脚が太くなる可能性は十分考えられます。
このように、スクワットはやり方によって反応が大きく変わってしまう。だからこそ、適切なフォームを理解して実践することが非常に重要なんですね。
続いては、目的別のスクワット方法もご紹介します。
スクワットでヒップアップする方法
スクワットでヒップアップするためには、
- 踝の真下(かかと)重心
- お尻を締めながら立ち上がる
この2つが大きなポイントになります。基本的なポイントは先ほどと同じで、立ち上がるときに少し違いが出てきます。
お尻の筋肉は、しゃがんだ時に刺激するよりも…
立ちあがるときの方が刺激しやすくなります。
踝の真下に重心を置いた状態で、立ち上がるときにお尻を締めながら立ち上がる。ここをおさえていると、スクワットでヒップアップができます。
最初にこの2点だけおさえていただき、実践へ移っていきますね。
①真下にへしゃげる
まず、
- 足は肩幅より少し広めに開く
- つま先は違和感ない程度に開く
- 体重は踝の真下に置く
ここから真下にへしゃげるように、しゃがむ。
しゃがんだときにも、常に踝の真下の位置に体重が乗っているようにします。
ここまでは先ほどお伝えした脚やせスクワットと同じ。
②踝の真下で軽く地面を押す
そこから、踝の真下の位置で軽く地面を押して立ちあがります。
③お尻を締める
立ち上がったら、お尻をキュッと締めます。
この立ち上がるときにお尻を締める刺激によってヒップアップしていきます。
全体のイメージとすれば、こんな感じ。
あとはこの動作イメージでスクワットを繰り返すだけですね。このスクワットがヒップアップ目的のフォームになります。
種目が違っても基本は同じ
付属で解説すると、以下のようなスクワットも立ちあがるときにお尻を締めることでヒップアップすることができます。
- ダンベルスクワット
- バーベルスクワット
- フロントスクワット
ポイントはすべて重心位置と立ち上がり方なので、そこを外さなければスクワットでヒップアップできます。
もしよりヒップアップしたい方は、「40代の女性がヒップアップするためにやるべき5つのこと」も参考にしてみてください。
スクワットでお腹を引き締める方法
スクワットでお腹を引き締めることも可能ですが、この場合は以下のようなスクワットがおすすめです。
- 真下にへしゃげるスクワット
- スロースクワット
- ドローインスクワット
それぞれ具体的に解説していきますね。
①真下にへしゃげるスクワット
例えば、
- 姿勢の崩れ
- むくみ など
が原因でお腹がぽっこり出ている方は、全身の筋肉を緩めるようなスクワットができればお腹を引き締めることができます。
手順
- 脚を肩幅に開く
- つま先を違和感ない程度に開く
- 踝の真下に体重を乗せる
- 全身の筋肉をリラックスさせる
- 重力に身体を預けるように、真下にへしゃげる
- ただただ真下に落ちるという動作を繰り返す
- これを20回ほど行う
リラックスした状態で、ただただ真下にへしゃげるという動作を繰り返せると、全身の筋肉が緩みます。
そうすると姿勢やむくみが改善され、その結果、お腹は簡単に引き締まっていくんですね。これは、適切にできるとほぼ全員が今よりもお腹の引き締まりを感じれると思います。
②スロースクワット
手順
- 脚を肩幅に開く
- つま先を違和感ない程度に開く
- 踝の真下に体重を乗せる
- 軽く膝を曲げ、全身の筋肉を緊張させる
- そこから口から強く息を吐きつつ4秒間でしゃがむ
- 4秒間かけて膝を伸ばし切らないように立ちあがる
- 全身がプルプル震えるまで繰り返す×3セット
これはかなりキツイですよね。ただ、適切にできると1回のトレーニングでもお腹周りが引き締まってきます。
③ドローインでスクワット
お腹には元々空洞があるので、その空洞を埋めるようなスクワットをしてもお腹を引き締めることができます。
この空洞を埋めるためにドローインをしつつ、スクワットをするという方法が効果的ですね。
手順
- 脚を肩幅よりも少し大きめに開く
- つま先も違和感ない程度に開く
- 軽く膝を曲げ、上半身をまっすぐ立てる
- まっすぐ立てた状態を崩さないように真下に軽くしゃがむ
- このとき、口から強く息を吐きながらしゃがんで立ちあがる
- これを10回×3セット行う
まだトレーニングをあまりしたことがない方は、このスクワットをすると1週間で2~3cmウエストダウンする方もいると思います。
このようにお腹の状態に合わせてスクワットのやり方を変えることでお腹は引き締まっていきますので、お腹痩せしたい方は上記の3つがおすすめです。
スクワットで脚やせする方法のまとめ
今回は、スクワットで脚が太くなる理由と脚やせ方法を解説しました。
今回の記事のまとめ
- スクワットで脚が太くなる理由は主にしゃがみ方の問題
- ブレーキをかける、または重量が重すぎると脚が太くなる可能性
- 脚やせするためには、まずしゃがみ方を自然にすること
- そして、その上で回数を重ねる
- 目安は、400回前後を週2回の頻度で行うこと
こういった内容をお伝えしました。
今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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