キャッチボールを始めるとき、なんとなく軽く投げて身体が温まってくると徐々にスピードを上げていく。
そんな感じで、キャッチボールは肩慣らしの延長のような感覚でやってしまっていませんか?
実はこのキャッチボールは投げ方や手順を変えることで、試合や練習でもっとスムーズに腕が振れたり、本来のパフォーマンスが発揮できるようになる大切な時間になります。
この記事では、
- キャッチボールの投げ方のコツ
- キャッチボールの5つの手順
- キャッチボールとパフォーマンスの関係
などをパーソナルトレーナー歴11年の僕が解説します。
この内容は、プロ野球を目指す高校生や社会人野球選手に現場で指導するキャッチボールの投げ方です。
基本的なことでありながら、プロを目指す選手も常に実践する方法ですので、ぜひ参考に実践してみてください。
今回の記事の内容
パフォーマンスが変わる基本的なキャッチボールの投げ方と5つの手順
キャッチボールの投げ方や手順を先にまとめると、
手順
- 腕回しを理解する
- 腕回しから投球
- リラックスしてストレートを投げる
- 気持ち良く投げられる距離で投げる
- その距離を徐々に伸ばす
こういった手順でキャッチボールを進めていきます。
具体的に1つ1つ解説していきます。
まず最初に
僕が現役のときにやってしまっていましたが、キャッチボールが始まると最初は距離が近いので、どうしても手投げになってしまったり流してしまっていることがありました。
距離が近くても、必ず軸足に体重を乗せて投球動作を行います。そうしないと、
何となく行っているキャッチボールの影響でフォームが崩れる影響がある
んですね。キャッチボールは、距離が変わろうとやることは同じ。
これは必ず行ってほしい覚えておいてほしいことです。大事なことなのでもう1度お伝えしますが、
キャッチボールの開始時の投げ方を適当にすると、その情報は身体にインプットされる
ため、疎かにしてしまわないように注意してください。
ではここから具体的な投げ方・手順を解説しますが、投球動作はリラックスすることでスムーズな動作となり、気持ちよく投げても勢いのあるボールが投げられるようになります。
そのためにまず行うことは、
スムーズな動作とは、どのような動きかを理解すること
が重要になります。
頭の中での理解もそうですし、その動きを体感することも重要になりますが、肩のスムーズな動きを理解するために行う方法が腕回しです。
腕回しをした状態で投球に入ることで、スムーズな動作をインプットしやすくなるので、まずはここから具体的に解説していきます。
①腕回しを理解する
まず最初に行ってほしいことは、「腕回し」です。以下の動画のように、体の前側でリラックスして腕回しを行ってみてください。
人間の肩の位置は、約30度ぐらい前に出ており、身体の前側に肩があります。肩の関節の構造上、自然な腕回しができると本来は身体の前側で円を描くように動きます。
よく行われる腕回しは、こちらですね。
腕を回した時、後方に大きく回しすぎているため、一瞬腕が上がってきたときに動きが硬くなることがわかりますか?
この肩の自然な動きは、投球時に関係します。
腕を後方に回すような使い方を繰り返すと、肩周りの筋肉が緊張してしまい、結果肩の柔軟性が低下する可能性もあります。こういう動きは野球選手にとってはマイナス。
ですので、まず最初に自然な腕回しを行えるようにしていきます。改めて解説すると、その手順は以下の通り。
手順
- 脚を肩幅に開く
- 肩から腕をぶらんとぶら下げるイメージを持つ
- 体の前側で円を描くように腕を回す
- 肩がスムーズに動いていることを感じながら20回ほど繰り返す
この腕の動きを理解していただいたら、実際のキャッチボールに入っていきます。
②腕回しからの投球
先ほどお伝えした腕回しから、ボールを持っている手を頭の後ろに落とし、一本背負いをするように投球していきます。
画像は1枚ずつを張り付けてつなげていますので、全体の動きが硬いですが、イメージとすればこのような感じです。
もし動画で確認したい方は、「肩・肘が痛くならない投げ方を習得する3つのステップ」でご紹介しているので、参考にしてみてください。
そして、この動作からボールを投げるときにはスローカーブを投げるようなイメージで投球していきます。
ストレートのように指を縫い目にかけず、カーブを投げるように持ち、そこから抜くように投げます。
カーブを投げるように手首は操作せず、リラックスしてボールを投げると、結果的にスローカーブのような投球になるはずです。
このように腕回しから投球を繰り返し、キャッチボールの最初でスムーズな投球動作を身体にインプットしていきます。
このキャッチボールの最初に重めのボールを使ってリラックスして投球動作を行うと、肩周りが緩みスムーズに動きやすくなるので、こういうボールを使ってもいいと思います。
自然な動きになると、投げたボールは相手の右肩の前ぐらいに投げられるはず。
狙わなくても自然に右肩にボールが集まるようになるため、それをひとつの判断材料として、リラックスしてこのように投球を繰り返します。
この腕回しから投球という動きに慣れてくると、次は腕回しをせずに通常の投球動作に移り、少しずつ距離を伸ばしていきます。
③ストレートをリラックスして投げる
ある程度の距離まで広がり球数を投げられると、次は握りを直しストレートでボールを投げていきます。
このとき、力んでしまわないように注意し、リラックスしつつ距離をさらに広げていきます。
腕はボールをリリースした後、身体に巻き付くようにフォロースルーを迎え減速していきます。
プロ野球選手の静止画を見ると、投げた後に腕を内側に捻るようなフォームになっていることがありますが、あのような動作はしようとしなくても、リラックスして投げていると自然になります。
ストレートに変えたからといって何かを変える必要もなく、相手の右肩に投げることをイメージし、距離を徐々に広げていきます。
- スムーズに腕を回す
- 腕回し→カーブを投げる
- 徐々に距離を広げる
- カーブからストレートに変える
このステップを確実に踏めていると、気持ち良く投げているのにボールはピュッと走ることが実感できると思います。
投手の投げ方については「ピッチャーの基本的な投げ方を3ステップで解説」でお伝えしているので、こちらも参考にしてみてください。
⑤気持ちよく投げられる距離を知る
こういった流れで気持ち良くキャッチボールができ出すと、ついつい距離を広げがち。距離が広すぎると頑張って投げようとしてしまい、結果的に肩周りが緊張しスムーズさがなくなってしまいます。
こういうことにならないように、腕のスムーズな動きができてストレートに変えると、後は気持ち良く投げられる距離を徐々に広げるだけです。
気持ちよく投げられる距離で毎回投げていると、次第にその距離も広がり結果的に長い距離を投げられるようになるので、あまり焦ってしまわないように注意してください。
ここまでお伝えした、
- 腕回しを理解する
- 腕回しから投球
- リラックスしてストレートを投げる
- 気持ち良く投げられる距離で投げる
- その距離を徐々に伸ばす
という手順でキャッチボールを行うと、その後の試合や練習では気持ち良く良いボールを投げられるようになるので、ぜひ参考に実践してみてください。
リラックスした状態で投げても良いボールが投げられることを理解する
ここまでお伝えしてきた、
リラックスという言葉は、力を抜くと言うことは別
です。
リラックスということは、必要最小限の力という意味であり、そういう力加減でボールを投げることができると、
気持ちよく投げられているけど、ピュッとした球が投げられる
ということが分かってきます。
ただ、力を抜いてしまうとボールを投げられませんし、抜けたような投球になってしまいます。大切なことは、スムーズに動くために必要最低限の力を加えること。
投げていてもどこにも緊張がなく、スムーズに動く。そういう投げ方ができると非常に気持ちよく感じ、疲れません。
これをインプットすると、これまで一生懸命ボールに力を加えようとしてもうまくいかなったり、引っかかったりする感覚はなくなるはずです。
だからこそ、腕回しが重要でありその延長線上にスムーズな投球動作があるため、日頃のキャッチボールの開始時にはまずは腕回しから始めてほしいなと思います。
ボールに勢いがないときに行うこと
最後に付属の情報ですが、先日社会人野球選手から、
最近勢いよくボールを投げることができない。
と相談を受けました。練習内容を聞いていると、問題はキャッチボールなどをする時間が短く、すぐに距離を広げていくため頑張って投げてしまっていました。
距離が広がっても肩が温まっていない中で、キャッチボールを行っていくので、どうしてもフワッとしたボールを投げてしまい、それが癖づいていることが大きな原因でした。
そこで行ったのが、近い距離で壁の前に立ち、ボールを思いっきり壁に向かって投げるということ。
近い距離で壁に向かってボールを思いっきり投げ、バアーン!と音を鳴らしていきます。
良い音のときもあれば、バスッっとかすれたような音がなるときもあります。この壁当ては、音を聞きながら行っていきます。
バアーン!と良い音が鳴ったときの感覚をインプットし、そこから再度キャッチボールをしてみると、勢いのボールが投げられるようになります。
実際に相談を受けた選手も、この方法で気持ち良く投げられるようになっていました。
調子の上がらない投手に対しても、効果があります。少し近めの距離からキャッチャーに投げ、パチンとミットをならすようにボールを受ける。
この音が大きければ投手の感覚も良くなり、そこから再度通常の距離でボールを投げると調子が戻ることがあります。このように音を活用して、距離やフォームを調整し、感覚を知る。
それができると、自然と調子も良くなったように感じ、パフォーマンスが変わることがあります。ボールに勢いがないと感じると、このようなことを試してみるのもいいかなと思います。
キャッチャーのスローイングについては「キャッチャーのスローイングの基本を3ステップで解説」で解説しているので、よければこちらもどうぞ。
まとめ:キャッチボールは投げ方・手順次第で意味が大きく変わる
今回は、キャッチボールの手順と、投げ方についてお伝えしていきました。
キャッチボールの手順
- 腕回しを理解する
- 腕回しから投球
- リラックスしてストレートを投げる
- 気持ち良く投げられる距離で投げる
- その距離を徐々に伸ばす
キャッチボールは肩慣らしと思われがちですが、その手順や投げ方によってそこで得られることが大きく変わってきます。
距離が変わろうと、軸足に体重を乗せ、そこから投げる。きちんと体重移動することは基本です。なんとなく手投げになると、大事なところでこの癖が出てしまいます。
今回お伝えした手順や投げ方をすると、気持ちよく投げることができるようになりますし、勢いのあるボールも投げられると思いますので、ぜひ実践してみてください。
今回の内容が少しでも参考になればうれしく思います。最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
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